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わがままな氷上の貴公子
第10章 意地
今日は、オレのシーズンベストスコアで優勝出来た。でもこれからも、それが続けられるとは限らない。
特に今日は、決意して臨んだものだったから。一か八かという思いもあった。
それがオリンピックになれば、緊張感はまた別格だろう。
元々あまり緊張しないオレだって、国を背負えば重圧がある。
この後の、最終選考となる大会まで二ヶ月。
今日のような演技を、また出来るだろうか。
どんな順番で跳んだか、今ははっきり覚えていない。VTRを見直して、練習を繰り返す必要がある。軸がズレたり、着氷が流れた部分もあった。次にミスを繰り返せば、今日のことはまぐれになってしまう。
そのプレッシャーは感じていた。
「悠ちゃん……?」
「何だよ……」
キスされて、すくに舌を絡めてくる。
「んんっ……」
今日ヤったら、出入り禁止だって言ったのにっ!
クチュクチュという音に、自然と勃起してきた。
やめろ、オレ! 今日はムリだって。絶対明日に響く!
「はぁ……」
潤が唇を離し、オレは俯いた。
「出入り禁止はイヤだけど……。ヤるって、どっから?」
言葉が出ない……。
キスは、セックスの一部なのか?
挿入しなければ、セックスじゃないのか?
でも愛撫されたら……。
境界線なんて、オレにも分からない。
「馬鹿っ! とにかく、お前は、二階で寝ろっ!」
「じゃあ、もっと……」
止める間もなく、またキスされる。
そのままベッドへ押し倒されたが、潤は触っては来ない。
「んんっ……」
舌から伝わる熱が、心地好い。
粘着質な音が頭に響き、いつの間にか夢中になっていた。
「ふぅっ……」
また離れた潤が、オレを見つめる。
こいつは、何を考えているんだろう。
「悠ちゃんの……。勃ってるよ……?」
「ば、馬鹿っ!!」
腕で跳ねのけようとしたが、いつもと同じ。重すぎて動かない。
「今日はヤらないっ! 二階行けよっ、馬鹿っ!」
もう一度触れるだけのキスをしてから、潤が立ち上がる。
「分かった。悠ちゃん。おやすみ……」
「ああ……」
大きな体が、ドアを出て行く。
それを見てから、ケットを被った。