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わがままな氷上の貴公子
第12章 開宴
ダイニングに並んでる料理だって、このメンバーじゃ食べ切れないぞ?
和子さんは、まだ何か調理してるし……。
インターフォンのチャイムに、和子さんより先に出てしまった。
潤の姿を見て、急いで玄関へ行く。
「悠ちゃん! ただいまあ」
入り浸ってはいるが、ここは決してお前の家じゃないって……。
「何だ、ソレ?」
潤は、大きな段ボール箱を肩に乗せている。手には、筒状の物がたくさん入った紙袋まで。
「いっぱい買って来たよお」
言いながら、みんながいるリビングの空いている椅子に段ボール箱と紙袋を置く。
「悠ちゃんのチョコレート。三つ買うと、ポスターがもらえるんだって」
「はあ?」
千絵が筒状のものを広げると、オレが滑っている姿のポスター。
「これが欲しかったのぉ? 実物がここにいるじゃん」
千絵は大笑いしている。
「悠ちゃんがCMやってるチョコレートだよ? たくさん売れたら、悠ちゃんも儲かるでしょ?」
やっぱり馬鹿は変わらないな……。
「印税式じゃ、ないでしょう……?」
塔子まで呆れていた。
当たり前だ!
この会社はオレのスポンサーだから、CMに出ているだけ。ある程度の出演料は払われるが、商品が売れたからってオレに何かあるわけじゃない。
売れないよりはマシな程度だ。
「三種類あるんだ。悠斗くん。サインしてくれる?」
箱の表示を見た塔子に言われ、和子さんが持って来てくれたペンでサインを書いた。丁寧に三種類とも、“塔子さんへ”と入れてやったし。
「部屋に貼って、友達に自慢するね」
「ああ……」
その用途は正しいが、こんなに大量のチョコレートと余ったポスターはどうする気なんだ?
オレは食べないぞ? 多分、千絵だって。
「俺にもいっぱいサインして。潤くんへって書いてね」
「どこに貼るんだよ……」
「悠ちゃんの部屋と、二階の部屋と、寮のあちこち!」
溜息しか出て来ない……。
自分の部屋に、自分のサイン入りポスターを貼れっていうのかっ!
みんなも笑っている。
「チョコレートは、フォンデュにしましょうか」
和子さんが箱を開けて、抱えられる程度キッチンへ持って行く。