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わがままな氷上の貴公子
第6章 本音
どうせ男同士なんて、長くは続かないんだから……。
いつだってそう。
オレの見かけと外面(そとづら)に釣られて寄って来ても、いつの間にか相手が冷める。
フィギュアスケーターとしてのオレのファンも、演技や表面的なことしか知らない。
キャーキャー騒いでいる女達も、本当のオレを知ったら去って行くんだろうか?
だから、人と深く接したくない……。
子供の頃からフィギュア漬けで、クラスメイトと遊ぶ時間も少なかった。
かけられるのは、「凄いね」や「綺麗だね」の誉め言葉だけ。
誰も、本当のオレを分かっていない。
そんな中で、自然と“美少年フィギュアスケーター”を演じるようになった。普段から。
それなのに潤は、何度怒鳴っても離れていかない。
オレを「悠ちゃん」なんて呼ぶヤツは、こいつが初めてだ。
「はぁっ、あっ、んんっ、あぁっ! んっ……」
熱を吐き出してから、フラつきながも潤にしがみついた。
「悠ちゃん……?」
何がしたいのか、自分でも分からない。
ただ、妙に淋しい思いを感じていただけ。
「もっと欲しい? ベッドの方がいい?」
「馬鹿っ!!」
シャワーを使って、簡単に体を洗った。
明日の朝も浴びるから、今はこれだけでいい。
「もう帰れよ。オレは寝るから」
そう言って浴室を出る。
「悠ちゃんっ」
潤の声は聞こえていたが、タオルだけを持って部屋へ行った。