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光を求めて
第5章 初恋

「雅也くん、ひさしぶりだね。雅也くんのおかげで朝陽の成績も上がってると家内から聞いているよ」

「いえ。朝陽は元々頭がいいので飲み込みが早くて助かってます。将来おじ様のあとを継ぐだけのことはありますね」

「雅也くんにそう言ってもらえると私も安心だ。キミは父親に似てできる男だからね」

少し緊張している様に見える雅也さんも父ときちんと会話をしていて、やっぱり私と違って大人だった。
それからしばらくは雅也さんと父が政治の話で盛り上がり、時間を持て余している私が足をブラブラとさせていると父の不満げな言葉が襲う。

「彩羽!足をフラフラさせるな。女がみっともない!!」

いきなりの事で、びっくりして目に涙が滲んだ。
ここで泣けばもっと叱られることが分かっているからグッと我慢する。

「お前はもう少し落ち着くことはできないのか?名城家の人間がそんなでどうする」

父のきつい言葉が飛ぶ。
父は私に厳しい……というか誰に対しても厳しく、それは子供の私たちも同じだった。
特に兄にはきびしかったけど、兄は何でもソツなくこなす人だから叱られる姿を目にすることは少ない。
そんな兄とは違って出来が良い方ではない私は叱られてばかり。
成績も普通で取り柄と言う取柄もない。
だから、父は私の事が嫌いで何かにつけて叱ってくる。


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