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光を求めて
第5章 初恋
「おいおい!こんな場面でキスとは俺たちも馬鹿にされたもんだな」
「別にいいんじゃない?これで俺たちも迷いなくやれるってやつだろう?」
雅也の態度に機嫌を悪くする男もいれば、相変わらずチャラいままの男もいる。
「とりあえず、やっちまおうぜ!女の方は後からでいいだろう。時間はたっぷりとあるしな」
そう言って手を伸ばしてきた男の手を雅也は取り、どういう仕組みが分からないけどねじり上げていた。
痛がる男に向ける視線は、いつもの優しさは微塵も感じられない。
冷たくて……怖くなるほどった。
「てめ――その手を離せ!!」
他の男が怒鳴ると、その男に向かってねじ上げている男を突き飛ばしていた。
そして……
「コノヤロ――!!!」
「彩羽、目を閉じて!!!!!」
男の声と共に雅也の声が耳に届き、私は雅也の言うとおりに目を閉じた。
「ぐっ……」
それと同時に誰かの呻く声が聞こえ、どさっと地面に落ちる音が耳に届いた。
「少し離れるけど心配しないで。すぐに戻るからね。彩羽は僕を信じてそのままでいてね」
何が起こっているのかわからなかったけど頷くと、抱きしめられていた腕がほどけぬくもりが消えた。