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光を求めて
第5章 初恋
怖くて雅也の名前を呼ぼうとしてやめた。
雅也が大丈夫と言ったんだから大丈夫。
すぐに戻ると言ったし、信じてって言った。
だったら私は雅也を信じて待てばいい。
雅也は約束を守る人。
私を傷つけない人……
そう思って目を閉じたまま待つことにした。
その間、何かがぶつかる音、地面に何かが落ちる音、男たちの声……いろいろと耳に届く中、それでも私は雅也を信じて待っていた。
しばらく待っていると騒がしかった音は止み、いつもの暖かな腕に抱きしめられ安堵する。

「もう大丈夫だよ。行こうか?」

雅也の言葉に閉じていた目を開くと、何も変わらない穏やかな雅也がいた。
何があったのかと振り返ると、道路の上に倒れこんでいる3人の男。
顔を苦悶に歪ませながらお腹を押さえてくの字になっていた。

「雅也っ」

「大丈夫。これは正当防衛だよ。それより騒ぎになる前に行こうか。さすがにおじ様たちにばれるとね」

私たちの関係を知らない父にこんな形でばれるわけもいかないと、その場から立ち去った。
その間、繋がれた手は強く握られ離れる事はなかった――


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