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光を求めて
第6章 初体験
「お前と出会って何十年だ?いい加減お前といるのは飽きたな」
「はぁ?それはこっちのセリフだ」
おじ様といる時の父は、私が知っている父じゃない気がする。
こんな風に楽しそうに言葉のやりとりを見たことがないし、本当に楽しそうに笑う。
「彩羽ちゃんも友達は大切にするんだよ。疎遠になったとしても、その人と一緒にいた時間は宝物だからね。それに人生には別れは必ず来るもんだ。それと同じだけの出会いもある。それが人生というものだよ」
おじ様の言葉はあまりピンとこなかったし、人生と言われても今の私には難しすぎた。
「父さん。彩羽ちゃんには難しすぎるよ」
「そうか、まだまだこれからだからな。勉強も大事だか友達と遊ぶのも大事だからね。大いに学校生活をエンジョイするといい」
にこやかに話す雅也とおじ様と違って、父は私を睨みつけるかのように厳しい表情をしていた。
それはいつもと変わらない威厳に満ち、否とは言わせない威圧感。
「お前は友達云々の前にしっかりと勉強をしないさい。名城家の人間がバカでは困る。どうして兄妹でこうも違うんだか」
飽きれる父は頭を振りながら、がっかりとした口調で私の出来の悪さを雅也たちがいる前で口にする。