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光を求めて
第1章 昼の顔と夜の顔
一通りページをめくり終わると、横の空いている席に座りキーボードを叩いている私の手を止めた。
久しぶりに触れる父の手にドキリとした。
昔に比べて温和になったと言っても、まだまだ緊張する私がいる。
それだけ父は私に取って怖い存在だった。
その父は眉を下げて寂しそうに口を開く。

「彩羽……家に戻ってこないか?」

いつから父は私にこういう表情を見せるようになったんだろ。
私にとって父は威厳に満ち溢れ何事にも厳しく、妥協を許さない近寄りがたい存在だった。
父も必要以上に笑わず、父の前に行くと緊張してあまり話せなかった事だけは覚えている。
そんな父が変わったのはあの時から……
全てに絶望した私が……

「母さんが寂しがってる。いつも彩羽の事を心配している」

私の思いを消し去るかのように父は母の名前を口にする。
母の事を出されると辛いけど、あの家には帰りたくない。
あの人との思い出がつまった家になど帰りたくはなかった。
だけど本当の事は言いたくないから言葉を濁す。

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