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光を求めて
第1章 昼の顔と夜の顔

「それは何度も言ってます。やっと自分の事は自分でできるようになったんです。もう少し自分の力だけで生活させてください」

と言っても、これも本音。
やっと自由になれたのだから窮屈な家には戻りたくはない。
それに家に帰ってしまえばゲンさんの店に入り浸れないし、今までの生活ができなくなる。
昔と変わらない何もない私。
ただ生きているだけの意味のない私が生まれるだけ。
だから私は帰りたくはない。

「お父様、ごめんなさい……お母様にもそう伝えてください」

父は私の言葉に渋い顔を続けたまま、どうにかして家に連れ帰ろうとする。
これもいつもと変わらない。
私が折れないと分かっていても毎回同じ言葉を繰り返す。

「そう言われてもなぁ……年頃の娘が一人暮らしは心配なんだよ」

父の気持ちも分からなくもないけど帰る気はないからはっきりと言葉にする。
今の私は、ビクビクして何も言えなかったあの頃の私じゃない。

「ですから部屋はお父様が決めた場所にしたじゃないですか。それで妥協してください。これ以上、同じ話を繰り返すのならこの会社を辞めます。そして二度とお父様たちとは会いません」

少し強く言えば父は諦めたように帰って行った。


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