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光を求めて
第6章 初体験
「今日で16歳だな。大人の仲間入りだ。おめでとう」
いつもより早く帰ってきた父は、私を応接間に呼ぶとお祝いの言葉をくれた。
ちゃんと私の誕生日を覚えていてくれたことがうれしくて自然と笑顔になる。
「ありがとうございます。お父様にお祝いの言葉をもらえてうれしいです」
正直な想いを口にすると、普段は余り笑わない父も満足そうに笑ってくれた。
「大事な娘の誕生日なんだから祝いの言葉は当然だ。それに16歳ということは結婚できる年齢にもなったということだ。これ以上喜ばしいことはない」
大事な娘と言われて舞い上がった私は、父の言った言葉の真意に気がつかなかった。
「彩羽は、私の会社がどういうものか分かっているな?」
「はい。それは昔から何度も聞かされてきましたから知っています。そしてお父様の跡をお兄様が継ぐんでしょう?」
「その通りだ。朝陽で5代目になる。名城家はそれなりの家系だ。その意味は分かるな?」
そう言って一枚の封筒を目の前に出され、それを開いてみると男の人の写真だった。
そこに立っているスーツ姿の男性は雅也より年上に見えた。
「この写真は誰ですか?」