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光を求めて
第6章 初体験
「彩羽、その目で見てらっしゃい。そしてお父様の言葉が正しかったと受け入れてちょうだい。誰も彩羽が憎くてこんな酷い事を言ってるんじゃないの。私たちはこれ以上、彩羽に傷ついてほしくないだけなの。わかってちょうだい」
唯一、味方だと思っていた母でさえ、雅也が裏切っていると口にする。
悔しくて唇を噛みしめて耐えていると、兄が私の手を取って優しく撫でてくれる。
「彩羽、とりあえず行ってきたらどうかな?雅也先生に話を聞いて、それからでも遅くないはずだよ。彩羽が雅也先生を信じるなら僕も信じるから自分の目で確かめておいで」
兄の言葉は私を勇気づけてくれる。
さっきまで、あんなに動かなかった身体も軽くなったように動くことができた。
「分かった。雅也に会って、お父様たちの話が嘘だって証明する。その時は何を言われても雅也と結婚します。許してくれないなら家を出てもいい。お兄様ありがとう」
兄にお礼を言って家を出た。
雅也の家までは歩いて15分程度で走れば10分もかからない。
早く会いたくて、そして父の言葉が嘘だと言って欲しくて無我夢中で走った。
普段走ることがないからスピードが上がらず歯がゆい思いをしながら、それでも一生懸命走って雅也の家に到着した。
荒い息をしながらチャイムを何度鳴らしても誰も出てこない。
「ほらっ、家にいるっていうのも嘘じゃない」
家にいると言った父の嘘に笑いながら玄関のドアノブに手をかけると、カチャリとドアが開いた。