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光を求めて
第1章 昼の顔と夜の顔
会社では絶対に話しかけないで欲しいとお願いしても、娘の私の事が心配なのか何かと理由を付けて接触してこようとする。
だけど親子だと知られたくない私は他人のふりを突き通す。
私は母の旧姓である東間を名乗って仕事をしているけど、本当の苗字は名城(なぎ)、名城彩羽が私の戸籍上の名前。
そして、私が勤めている会社名は名城コーポレーション。
その会社名から分かる通り、父はこの会社の社長で私はいわゆる社長令嬢。
それを知られたくない私は母の旧姓を名乗り、一社員として仕事をしている。
頻繁に様子を見に来る父に、いつバレてしまうのかヒヤヒヤした日々をすごしているのは言う間でもない。
父の心配も分かるけど、二十歳を過ぎた娘なのだからいい加減放っておいてほしい。
そんな事を考えながら誰も来ない社内で黙々と仕事をこなし、すべてが終わったのは1時を過ぎた頃だった。
タクシーで帰るのも面倒になり近くのホテルに泊ることした。
シャワーを簡単に済ませて酎ハイを飲み一息つけば、やっとリラックスできた。
今日はまだ月曜日で週末までは程遠い。
そんな事を思いながらつまらない日常を淡々と過ごしている。
そして金曜日になれば、色のない私は少しおしゃれをして夜の街に足を運ぶ。


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