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光を求めて
第6章 初体験

「どうしたのかな?」

そんな私に声をかけてきたのは父よりは若い中年の男だった。

「子供が出歩く時間じゃないし、こんな場所を歩いていたら変な男に声かけられるよ。どうしたの?悲しいことでもあったのかな?」

世の中のことを知らない私は、他人に対して警戒するということを知らなかった。
優しく声をかけられ、知らない人なのにスーツを握りしめ泣いた。

「どうしたの?嫌なことでもあった?」

そう言いながら優しく頭を撫でてくれた。
それが今の私にはたまらない。
誰でもいいから助けて欲しくて言葉にする。

「たす……けて」

「どうしたら助けられるかな?」

「分からない……分からないけど、ひとりはイヤ、帰りたくない」

「う~ん……それは困ったね」

私の言葉にきちんと答えてくれる男だけが私の味方だと勘違いする。
両親も私の話を聞かずに一方的に婚約者をつくり結婚させようとした。
雅也の事を好きだと言ったのに、その心を分かってくれなかった。
雅也も私を好きだと言いながら他に女がいた。
色々な想いが頭をぐるぐると回る。


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