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光を求めて
第6章 初体験
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雅也の目を見ていると楽しかったことも辛かったことも思い出す。
私の人生を狂わせた男だけど、私が一番初めに好きなった男。
「あまり馬鹿なことするな」
雅也の手が頬に触れた。
そして、昔と同じ仕草で首筋にスライドして撫でてくる。
「彩羽…」
名前を呼ばれて不覚にも心がときめいた。
あの時と変わらない声音に涙が零れそうになる。
だけど泣くわけにはいかない。
私の人生を狂わせた男に涙なんか見せたくなかった。
タクシーはネオン街を抜けて静かな町へと進む。
マンションに着くと雅也も降りて決まりごとの様に私の部屋に向かった。
「寂しい部屋だね」
私の部屋を見て雅也はぼそりと呟いた。
雅也の言うとおり寂しく感じる部屋だと思う。
殺風景で必要な物以外置いていない。
そしてモノトーンで色もなかった。
「これが今の私だから」
そう言うと、雅也は目尻を下げて今にも泣き出してしまいそうな顔をした。