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光を求めて
第7章 忌まわしい過去

「娘のために泣いてくれてありがとな」

抱きしめてる私の背中を撫でるゲンさんの手に癒される私がいた。
私を癒してくれるように私もゲンさんを癒したい。

「娘さんの為に泣いてるんじゃないよ……ゲンさんが泣かないから代わりに泣いてるんだよ」

「そうか、俺の代わりか」

「うん。ゲンさん泣かなさそうだから……今まで、昔話だって笑ってやりすごしてきたんでしょ?」

「そうでもないさ。それなりに怒って荒れて……それでも娘の死によって救われた人もいたんだ。それが救いだった」

ゲンさんの腕の中から顔を上げると、やっぱり穏やかな顔だった。
大事な娘の話をするのにどうして穏やかな顔ができるのか、私には理解できない。

「ゲンさん……」

「世の中にはどうしようもないこともある。嘆いたってどうしようもないことがな。娘がいなくなっても俺の人生は続く……ただ生きているだけの人生、夢も希望もない。仕事を辞めて自由の利くバーを開いて、しがない日々を過ごしていたよ。そんな時にお前を見つけた。初めは娘も生きていればこんな風に成長したのかと思って見てた。……けど、危なっかしいったらなかったぞ。知らない男にホイホイついて行くし、そのうち痛い目みるんじゃないかって……いつの間にか父親の気分でお前を見てた」



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