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光を求めて
第7章 忌まわしい過去
ゲンさんは当時の事を振り返りながら、私と一緒にソファーに座った。
目の前にある娘さんの写真を手に取り、写真の中の娘さんを人差し指で撫でる。
その表情は柔らかくて、私に見せる顔とはまた違った。

「娘がいたらこんな会話をしていたんだろうか?こんな風に食事をしてただろうか?と生きている実感ができた。夏休み最後にお前とでかけてパパと呼ばれた時は泣きそうになった。生きていてよかったと心底思ったんだ。ずっと傍に置いておきたいと……そう願ってもいた」

「でもゲンさんは帰れって」

「当然だろう?俺とお前は所詮は親子ごっこだ。本当の親子にはなれない。本当の親に傷つけられたとしても心配しない親はいない。……俺は子供を失ったが父親の気持ちはわかるつもりだ。だから帰れと言うしかなかった。お前の父親を見て大丈夫だとも思ったからな」

それはゲンさんの願いなのかもしれない。
傍にいられなかった父親の気持ちを知ってるからこその願い。

「それなのにお前ときたら休みごとに現れるわ、知らない男にホイホイついて行くわで気が休まる暇がなかったぞ」

ゲンさんはしんみりとした空気を一変させるかのように豪快に笑った。


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