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光を求めて
第7章 忌まわしい過去
「何が気にいらないんだ?言ってくれないと私たちは分からない。情けないが……お前の気持ちが分からないんだよ」
いつも威厳に満ちた父が情けない声で覇気がない。
肩を落とす姿が、父を小さくみせているみたいだった。
「お前が病院に運ばれたと聞いて生きた心地がしなかった。死にたいと呟いた時は息が詰まるほど苦しくなった」
「それは……家と家を繋げなくなるから??あの人の家と婚姻関係が結べなくなるから?」
「何を言ってるんだ?」
私の言葉に父が困惑した表情をみせた。
その表情の意味が分からずイライラする。
「何って?私は家と家を繋ぐ道具でしょう?その道具がいなくなればあの家との繋がりも得られない。だから心配するんでしょう?」
私の言葉に、父の表情がみるみる変わり驚いていた。
何をいまさら驚くのかさえ分からない。
それとも演技をしているのかと疑いたくもなる。
「今更そんな顔をしても遅いよ。お父様が私の事を道具としてしか見ていないの分かってる。できそこないの私が結婚でしかこの家に貢献できないことぐらいわかってる。分かってるけど嫌なの……道具として好きでもない男と結婚するのは嫌なの」