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光を求めて
第7章 忌まわしい過去
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私は愛されていないわけではなかった。
それでも、ゲンさんから受ける愛情の方が本当の親子の様に感じていた。
「まぁ、いがみ合う親子もいるけどな。それでも離れられないのが血縁だ。俺の事を父の様に慕ってくれるのは嬉しいが本当の父親にも優しくしてやれ。いつまでも元気なわけじゃない。親孝行したい時に親はなしっていうだろう?できるうちに親孝行はしてやれ」
その言葉に、本当の両親よりゲンさんに親孝行したいと思う。
それを口にすると怒られるから何も言わないけど、亡くなった娘さんができなかった親孝行を私がしたいと思った。
それからお昼は外に食べに行こうということになり、パスタを食べてゲンさんとは別れた。
帰り道、頭の中にあるのはゲンさんと亡くなった娘さんのこと。
最後は私の話で終わってしまったけど、ゲンさんの事を思うと心が痛い。
自分のマンションに到着してバックの中に手を入れて鍵がないことに気がついた。
そして、マンションから飛び出した理由を思いだした。
「雅也……」
マンションを飛び出した理由を、ゲンさんの話ですっかり忘れていた。
もう部屋にいないかもしれないと思ってチャイムを鳴らすと、何も言わずにエントランスが開いた。
開いたということは雅也は部屋にいるということで……溜息をつきながら自分の部屋に入ると雅也はソファーに座っていた。