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光を求めて
第7章 忌まわしい過去
「おかえり」
「…うん、ただいま」
普通に迎えてくれる雅也につられて返事をし、返事をしてしまった自分の馬鹿さかげんに笑いたくなった。
「また、知らない男とホテルに泊ったの?」
雅也の言葉に顔を上げると雅也は俯いたままだった。
「さぁ、どうだろうね。でも、雅也には関係ないよ。私が何をしようとね」
自分でも笑えるぐらいの冷たい対応に雅也は何も言い返さなかった。
沈黙だけが続く部屋で苦痛しか感じない。
動こうとしない雅也を無視して部屋の掃除や洗濯をして週末にする事を淡々とこなす。
夕方になり食事の準備をして食べ始めても雅也は動こうとはしなかった。
人が目の前にいるのにひとりで食べるのは気まずい。
そこにいないようにしようと思っても、気になって仕方がなかった。
「ねぇ、食べる?」
聞けば頷き、残った物をよそって渡すと手を合わせて食べ始めた。
目の前に雅也がいるのに会話もなく、寂しい食卓だった。
食べ終わると雅也は私の分まで洗ってキッチンを片付けてくれた。
お風呂に入り寝る時間までTVを見て、12時を回ろうとしている頃に声をかけた。
「布団、ここに置いておくから。お風呂も勝手に使って」
「……ありがとう」
その言葉を聞いて自分の部屋に逃げるように入った。