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光を求めて
第8章 知らないこと
「人がすることだからミスがあって当たり前。それをフォローするのが仲間の存在だ。東間さんはひとりで何でもやろうとする癖があるけど、もっと仲間を信じたらどうだ?そして、あまり無理をしない事。いいね」
諭すような物言いに目頭が熱くなる。
仕事で仲間意識を持ったことがない私は、その一言で心が熱くなる。
それだけ誰に頼ることなく一人で生きてきた。
「あり、がとうございます」
鼻の奥がツーンとするのを堪えてお礼を言うと、田所さんは会社では見せないような笑顔を見せてくれた。
「課長!!すごく良い事言ってるなって思うんですけど無理難題を押し付けてるのは課長でしょう??」
私たちのやりとりを聞いていた部内の誰かが声をあげると、そうだそうだと声が上がった。
「あっ、うん……そうだな、俺が仕事を押し付けすぎてるな。すまん」
営業課から上がった声に田所さんは苦笑いをしながら頭を下げてきた。
その光景に営業部内から笑いが起こり、なんともアットホームな感じが広がった。
それからはミスをしないように仕事に専念した。
もうミスをして営業部の視線を集めたくなかったし、ましてや雅也の事でミスを連発することだけは避けたかった。