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光を求めて
第8章 知らないこと
「それより、おじ様の体調が悪いって」
「会社の事で無理ばかりしてたからね。それが祟ったんだと思うよ。僕にも母さんにも心配かけまいと一人で頑張ってたから……僕にもっと力があったらと思うよ」
申し訳なさそうに言葉にする雅也を抱きしめてあげたいと思ってしまう。
昔みたいに抱きしめて背中を擦って……
だけど、伸ばしかけた手を止めた。
「おじ様、優しかったもんね。いつも私たちの味方してくれてた。久しぶりに会いたいなっ」
そう言葉にすると雅也に笑顔が戻ってくる。
「ありがとう。父さん喜ぶと思うよ、母さんもね」
雅也のことがあってからおじ様にもおば様にも会ってはいない。
元気だと思っていた人が身体を悪くしていると分かれば会いたくなる。
雅也に言った通り私には優しくて、父が私に厳しいことを言うといつもかばってくれた。
おば様も家に伺うと娘のようにかわいがってくれて、自分の家よりも居心地がよかったのを覚えている。
「そろそろ寝ようか?明日もいつもの時間に起きるんでしょう?」
言われて時計をみると1時を回っていた。
普段は12時前に寝るから週初めにしては夜更かしだった。
「そうだね」
当たり前のように帰ろうとはせず、飲み終わったカップを洗ってくれた。
そして、昨日渡していた布団をリビングの端に引き始めた姿を見ながら、昨日雅也に聞いた言葉を違う意味で聞き返した。
昨日は傷つけるために言った言葉だったけど今日は違う。