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光を求めて
第8章 知らないこと
「今日は何が食べたい?」
「帰ってから作るの?」
「じゃないと何もないよ?コンビニのお弁当とか僕は嫌だよ。味気なさすぎ」
その言葉に買い物をして帰ることになった。
スーパーで手際よく買い物をし、帰ってからも素早く料理を作ってくれた。
何か手伝うというと着替えて先にお風呂に入るよう言われ、私がすることがほとんどなかった。
食事が終わればふたり並んで食器を洗い、その後はソファーでココアを飲んでくつろぐのも日常と化した。
もし、これが恋人同士だったらきっと幸せな時間だったに違いないと思えるほど、雅也と一緒にいる時間が普通になっていた。
だけど私と雅也は恋人でもなければ愛し合っているわけでもない。
いまだに雅也が何を考えているのか、どうしてここにいるのか分からず、だけど追い出せない私も一緒にいることを苦にも思ってはいなかった。
そんな平穏と呼べる日が続いたある日、いつものように雅也と何を食べようかと話しながら帰っていた。