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光を求めて
第8章 知らないこと

「彩羽ってすぐに顔にでるよね。心配なら手伝ってくると良いよ。僕は先に帰ってのんびりしてるから気にしないで」

一緒に帰りたかったけど、そう言われると頷くしかない。
それよりも私の事を分かっている雅也にうれしさが増す。

「一緒に帰れなくてごめんね」

「いいよ。社会に出ている以上は仕事が優先なのは当然だし、勝手に迎えにきただけだから。遅くなりそうなら連絡くれたら迎えにくるよ。仕事頑張って」

雅也は軽く髪の毛を優しく撫で、じゃあと言って帰って行った。
その後姿を少し見送り、コンビニでサンドイッチとコーヒーを買って社内に戻った。
営業部ではスーツの上着を脱いだ田所さんが袖を腕まくりして仕事をする体制にはいっている。
机の上には大量の資料をちりばめて難しそうな表情をしていた。

「おつかれさまです」

声をかけるまで気が付かなかった田所さんは私を見て驚いた顔をしていた。

「お手伝いしますよ。何をすればいいですか?」

驚いて言葉を発しない田所さんに声をかければ、あ~とか、う~とかいいながらひとつの資料を年度別に集計するように頼まれた。
ざっと見て10年分の資料を一人でどうにかしようとしていた田所さんにあきれながら、助かるよとほほ笑んでくれた表情はほっとしたようにも見えた。
それからお互いに話もせずに黙々と仕事をこなす。


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