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光を求めて
第8章 知らないこと

「大丈夫ですよ。これくらいではセクハラとは思いませんから。それより仕事が無事に終わってよかったですね。これで明日は契約とれそうですか?」

「あの資料なら問題ないよ。東間さんが戻ってきてくれて助かったよ。俺一人だったらまだ終わってないね。きっと」

話を変えたくて仕事の話をすれば改まってお礼を言われ、手伝ってよかったと思う。
それから私たちは駅まで一緒に歩き、そこからは別方向だからホームで別れて電車に乗った。
仕事の途中で雅也から仕事が終わったら連絡するように言われていたことを思い出してLINEを送ると、すぐに既読になり返事が返ってくる。
その返事に自然と笑みがこぼれて早く駅に着かないかと心がはやり、いつもだったら短い距離でも長く感じた。
いつものように改札を通ると待っていてくれる人がいる。
今までにない経験で、人が待っていてくれることがこんなにもうれしいことなんだと初めて知った。

「おかえり」

「うん。ただいま」

たったそれだけの会話でさえ幸せを感じる。
ただの知り合いだけど、今の私にはそれだけで十分だった。
短い道のりをふたりで歩き、部屋に上がればヘルシーな食事が並べられている。


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