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光を求めて
第8章 知らないこと
「もう12時近いからね。これで足りる?」
野菜中心のメニューでもボリュームは申し分ない。
身体のことまで考えてくれている雅也にありがとうと告げると、昔と変わらない優しい笑顔を返してくれた。
だから、あの頃と何も変わらないと勘違いをしてしまう。
「明日は何か予定ある?」
「明日?別にないけど雅也は?」
「僕もないかな?彩羽に予定がなかったら買い物につきあってくれないかな?ついでに映画でも見に行こうか?」
驚く私に、ダメかなと聞いてくる。
全然だめじゃないし、行くと元気に答えるとクスクスと笑う。
「その返答の仕方は昔と変わらないね」
「それって子供ってこと??」
昔と変わらいと言われて不貞腐れてみると雅也の手が伸びて頬に触れた。
「彩羽は素敵な大人に成長しているよ。だけど変わらない部分もある。それが僕にはうれしいかな?」
雅也が言わんとしていることが理解できなくても、素敵な大人に成長していると言われたことは素直にうれしかった。
「ありがとう、そう言ってもらえるとうれしい。で?明日は何を買いに行きたいの?」
「再来週、父さんの誕生日だからそのプレゼントをね。お疲れさまも込めて何かをあげたいんだ」
少し寂しそうに言葉にする。
合併の話はまだ世には出てはいないけど、もし世に出れば大変なことになるのは明白だった。