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光を求めて
第8章 知らないこと
「おじ様大丈夫かな?」
「今のところは合併に向けて忙しくてしているから気を張ってる状態だから良いんだけどね。仕事第一の人だったからその後が心配かな?」
「そうなんだ」
仕事第一と言われてもピンとはこない。
どちらかというと仕事より家族を優先しているように見えた。
いつもおば様や雅也の事を心配し、雅也の話をよく聞いてくれると昔聞いたような気がする。
それに仕事優先というのなら私の父の方だと思う。
兄が副社長になってからは少しずつ兄に仕事を任せるようになり、帰る時間が早くなったと聞いたけど、私が家にいる頃は家の中で会うことはほとんどなかった。
会ったとしても怒られるか説教をされるかの記憶しかない。
そんな風に考えこんでいると、雅也は私の肩をポンポンと優しく叩いて意識を戻させる。
「彩羽が気にすることはないよ。母さんもいるしね。母さんなんて父さんが仕事辞めたらあれしたいこれしたいってリストを作ってるらしいよ。――世界一周の旅をプレゼントするのもいいかな?」
世界一周の旅という言葉に驚いていると、それくらのは貯金はねと苦笑い。
それでも、雅也の心配事は確実に大きくなっていることは確かだった。