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光を求めて
第9章 昔のように
「雅也……」
ジッと画面を見つめている雅也の掌に自分の手を重ねると逆に握りしめられ、その手に力がこもる。
「大丈夫?」
そんな言葉しかかけてあげられない。
もっと気の利いた言葉をかけて慰めてあげたいのに、どんな言葉をかければいいのか分からなかった。
それでも、何も知らずにいるよりは傍にいることができたことだけでもよかった。
傍にいるだけで少しでも辛い気持ちが薄れてくれたらと思う。
「雅也はおじ様の傍にいてあげなくていいの?」
「んっ、来るなと言われたよ。マスコミが殺到しているだろうから近づくなとね」
そう言って唇を噛み締める。
おじ様の傍で支えたいと思ってもおじ様はそれを拒み、雅也の安全を一番に考えてくれている。
そんなおじ様の心が分かるから雅也も辛い。
ただ見ていることしかできないからこそ辛さは倍増する。
それからしばらくして中継は終わった。
中継からスタジオに戻り、コメンテーターの人たちが憶測で色々な事を言う。
どこまで真実かは分からないけど、真実だけを確実に伝えてほしい
嘘偽りで雅也やおじ様たちを苦しめてほしくないとだけ強く思った。