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光を求めて
第9章 昔のように
「今日は彩羽が一緒にいてくれてよかったよ。一人だったらきっと会場に行ってたと思う」
夕食を食べた後、いつものように雅也はソファーで、私は絨毯の上でくつろいでいると、珍しく酎ハイを飲みながら雅也が口にする。
TVもつけていないから雅也の言葉は遮るものもなく私の耳に静かに届いた。
食事の後はTVを見ながらくつろぐのがいつものことだけど、今日はTVをつけていない。
ニュースになれば合併の事ばかりで雅也に見せたくなかったし、雅也もTVをつけないことに何も言わなかった。
「ただ一緒にTVをみただけだよ。私は何もしてない」
「それでも誰かが傍にいるのといないのとでは違うよ。辛い時に誰かが傍にいてくれることほど力強いことはないと僕は思うんだ。それが彩羽ならなおさらかな?」
雅也の言葉にマグカップに口をつけようとしていた手が止まり、雅也に視線を向けると照れたように笑っていた。
その笑顔をじっと見つめていると、昔のように雅也の手が伸びてきて頬を撫で始めた。
何度も何度も私を愛しむように撫でる手の甲に、自然とドキドキする。