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光を求めて
第9章 昔のように
まだ雅也と恋人同士だった頃、雅也の癖は私の頬を手の甲で撫でることだった。
そのまま首筋にスライドして耳朶を撫でながらキスをするのがいつもの事で、同じことをされると、また雅也とキスができるかもしれないと身体も心も期待する。

「雅……也……」

ドキドキしながら雅也の名前を呼ぶと雅也は目を細め、撫でていた頬から首筋にスライドして耳朶を軽くなぞってくる。
くすぐったいような官能的なような……変な感じが体中をめぐり、こんな時なのに欲情する。
いや……こんな時だからこそ、お互いの存在を確かめて安心したいのかもしれない。
雅也はおじ様の事で辛いから。
私はそんな雅也を見ているのが辛いから。
それでもいいと思う。
目の前にいる雅也を救えるのなら、雅也が望むようにしてあげたいと思う私がいた。
私はマグカップをテーブルの上に置いて、雅也が座っているソファーの横に腰を下ろして優しく包むように抱きしめた。
はじめは驚いていた雅也も、いつの間にか私の肩に顔を埋めて自然と背中に腕が回った。
お互いがお互いを抱きしめて、悲しみや苦しみから逃げようとする。


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