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光を求めて
第9章 昔のように
お互いのぬくもりが眠っていても伝わり、ともて幸せな夢をみていた。
その幸せの時を破ったのは雅也のスマホのメロディだった。
時計を見ると夜中の2時を過ぎていて、こんな時間にかかってくる電話に良い予感はしない。
お互いに顔を見合わせ、雅也が電話に出ると一瞬にして顔が強張った。
電話越しで雅也が質問をしはじめると、何が起きているのか分かってくる。

「雅也……」

電話を切った雅也に言葉をかけると、静かに頷いて私を抱きしめてきた。
それは不安からの行動で、私の想像が当たっているが分かった。

「行かなくていいの?」

「ん、行くよ。行くけど……ごめん。少しこのままで」

弱さを見せられるとほっとくことなんかできず、私も雅也の背中に腕を回し落ち着くのをまった。
暫くすると出かける準備をはじめ、一緒に行きたい私もタクシーに乗って目的に向かった。
その間、何度か電話がかかってきて相手と話をしても雅也の険しい表情が戻ることはなく、いまだに危険な状況だということことだけが伝わってきた。

「雅也、大丈夫だよ。案外平気だったりするよ」

目的地に到着するまで雅也を励まし続け、雅也は歯を食いしばり私の手を痛いほど握りしめていた。


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