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光を求めて
第9章 昔のように
「本当にありがとう。主人も目を覚ましたらきっと驚くわ。まさか彩羽ちゃんが来てくれるなんて思いもしないでしょうから……それにしても彩羽ちゃん、きれになって見違えちゃったわ」
「もう25歳なんですよ」
「まぁそうなの?あの時はまだ高校生だったものね。そう、彩羽ちゃんが25歳になったのね」
「僕が30歳すぎたんだから当たり前じゃない?」
「男の子が歳を取るのと女の子が歳を取るのとじゃ大違いなのよ」
こんな時だけどおば様と話すのが楽しかった。
言葉のやり取りもそうだけど、優しい声音が私の心を安らげてくれる。
三人で和やかに話していると、廊下の方が少しうるさくなった。
何事かと視線をドアの方に向けると、ノックもせずにドアが開き思いもよらない人が入ってきた。
お互いにお互いの存在を認識すると冷たい空気が流れたのを肌で感じた。
「なぜ……お前がここに?」
「おじ様のお見舞い」
「そんな事を聞いているんじゃない。どうして、お前がここにいるかということだ」
眉間にシワを寄せて不機嫌な人物は父だった。
父の言葉に何を言いたいのかは検討がついている。
雅也と一緒にいるのが信じられないと言ったところだろう。