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光を求めて
第9章 昔のように
「お父様。昔、何があったにしてもおじ様が倒れて意識がないと聞いて知らない顔はできません。幼い頃から私をかわいがってくれた方です。会いに来てはダメでしたか?お父様はそんな無責任な娘がよかったですか?」
「それは……」
私の言葉に言葉を詰まらせる父はそれ以降何を言わなくなった。
そんな私と父のやりとりに驚いているのは雅也とおば様。
昔の私たちしか知らないふたりは、私が父を黙らせたのが信じられないようだった。
あれだけ父の前だと委縮していた私だから当然と言えば当然かもしれない。
「それよりお父様。お父様もおじ様の事を聞いて駆けつけて来られたんでしょ?」
「あっ、ああ。長いつきあいだからな。いがみ合ったとしてもそれとこれとは別だ」
「ふふふっ、同じですね。何があっても大切な方々には変わりはないんですよね」
そう伝えると父はあきらめたように肩をすぼめ、おば様と雅也に軽く会釈しておじ様の傍らに立った。
いったい何を考えているのか分からないけど、その表情からは憎しみも感じられないし、本当に友として見舞いに来たようで安心した。
そして父は小さな声で、こう呟いた。
「おい……起きろよ。死ぬには早すぎるだろう?」