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第9章 昔のように

「彩羽はいつからおじ様にそんな口を？」

私と父のやり取りを唖然として見ていた雅也がかろうじて言葉にする。

「もう何も言えずに泣いていた子供じゃないよ。言いたいことは言うし、嫌な事は嫌って言える。もうあの時の何もできない私じゃないんだよ」

「そうだけど……」

「口だけは達者になりおって、娘にこんな事を言われるとは思ってもいなかったぞ？」

父が不機嫌に会話に入ってきた。
もう何度も口にした言葉を今日も病室で父に告げる。

「お父様の操り人形で一生を過ごすのは嫌なんです。私は私らしく、私のやりたいように生きたいんです！何度言ったら分かるんですか？」

「そう言われてもなぁ……父親としては心配なんだよ」

「だからお父様の会社に入ったじゃないですか。家もお父様が決めた部屋。それで妥協してくださいと何度言ったら分かってくれるんですか！！」

少し強い口調で言えば父は口をへの字に曲げて黙り込んだ。
そんな私たちを見ていた雅也とおば様はクスクスと笑い出し、名城家の恥を晒してしまった。
恥ずかしくて下を向くと、父でも雅也でもない声が耳に届いた。