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光を求めて
第10章 本当の気持ち
「彩羽の方は仕事は大丈夫?最近は定時で上がれる日が多くなったね」
ドキドキが激しくなる私に拍子抜けするようなことを聞いてくる。
「……そうだね。最近は仕事を押し付けられなくなったし仕事は順調かな?」
「そう?初めの頃は残業ばかりだったからね。順調ならよかった」
よかったねと言ってくれる雅也にうんと頷いた。
私が早く帰ってこれる理由は、田所さんから仕事をおしつけられなくなったという事も関係しているけど、本当は他に理由があった。
雅也がおいしいご飯を作って待っていてくれていると思うと、定時で仕事を切り上げられるように仕事を調節するようになり、余計な仕事は引き受けないようになった。
田所さんには悪いと思いながらも、雅也との時間を優先していた。
「雅也も仕事、無理はしないでね」
「無理はしてないから大丈夫だよ。それよりお腹すいてない?今からつくるからもう少し待てって」
雅也は私から離れてキッチンに立って簡単なものを作ってくれる。
本当だったら女性の私がするべきだろうけどキッチンを私に譲ってはくれない。
だからいつの間にか食事は雅也が作ると決まった。