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光を求めて
第10章 本当の気持ち
「おかえり」
玄関で雅也を迎えると嬉しそうに笑ってくれる。
それだけで私は嬉しくて心の中が暖かくなる。
「ご飯の準備できてるよ。先にご飯食べるでしょう?」
雅也の手を引っ張りリビングに行くと、私が作った料理がテーブルの上に並んでいた。
「今日も作らせちゃってごめんね」
「大丈夫だよ。私も料理は好きだから、早く帰ってきた人がやればいいんだよ」
申し訳なさそうにする雅也に告げると、もう一度ごめんねと口にして着替えるために寝室に入っていった。
ここ最近の雅也は仕事が忙しいのか帰ってくるのが遅い。
そして難しい案件を抱えているようで、眉間に皺を寄せて考え込む事が多くなっていた。
話を聞いてあげたいと思っても弁護士という仕事柄、守秘義務があるからと簡単に話してくれない。
だから何もできない私は、料理を作って雅也が帰ってくるのを待っていてあげることぐらいしかできなかった。
いつものように食事をしてソファーで寛いでいても、雅也の心はここに在らずと言った感じで少し寂しさを感じていた。