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光を求めて
第10章 本当の気持ち
「無理しないでね」
そう伝えると、眉間の皺は跡形も消えてなくなり、いつもの優しい笑顔に変わった。
「ありがとう……心配かけてごめんね」
いつもの表情にホッとした私は、雅也の隣に座りなおして身体をゆだねる。
そうすると自然と雅也の手が肩に回って引き寄せてくれる。
お互いに何も言葉にせずTVを見るだけの時間。
それは何物にも代えがたい幸せな時間だった。
TVを見て雅也が笑えば私も自然と笑みがこぼれる。
繋いだ手をギュっと握られると心が躍る。
雅也のひとつひとつの行為に私の心は左右され、いつの間にか私の心の中は雅也一色になっていた。
「ねぇ雅也……」
「んっ?何?」
私の事どう思ってる?と聞きたいけどストレートに聞けない自分の弱さ。
こんな風に寄り添い、時には抱きしめてくれるのに決定的な言葉を聞いていないから不安になる。
好きだと……あの頃のように言ってほしいのに、雅也はいまだに言ってはくれない。
「ごめん。なんでもない。それより寝ようか?明日は少し早く仕事行かなくちゃ」
雰囲気を変えるために明るく答えると、大変だねと言っていつものように抱きしめて眠ってくれた。