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光を求めて
第10章 本当の気持ち

「今日も仕事遅い?」

靴を履きながら聞いた何気ない一言に、雅也は一瞬寂しそうな表情を私に向けた。

「雅也?」

「いつも彩羽に夕食の準備させてごめんね」

「そんなこといいって。昨日も言ったように早く帰ってきた人が作ればいいだけのことだから。本当に心配症なんだから」

たったそれだけの事でシュンとする雅也が愛おしくて、雅也の手を取って握りしめる。

「私と一緒に居る時は無理しないでよ。これからも一緒に居るんだったらお互いに協力していこうよ。ねっ?」

「これ……からも?」

私の言葉に雅也の瞳が揺れた。
雅也の中ではあの時の事がひっかかってるんだろう。
裏切られた私がふっきれているのに、心優しい雅也はそれを今でも引きずっている。
それがあるから自分の気持ちを言葉にしてくれないのかもしれない。

「おじ様にも言ったように昔の事だよ。こうやって会いにきてくれただけで私は十分――もう行かないと仕事に遅れちゃう!今度ゆっくり話をしよう?それから今後の事決めよう?」

そう伝えると、雅也は何も言わずに私の手を引いて抱きしめる。
ギュっと抱きしめられる背中に私も腕を回した。


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