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光を求めて
第10章 本当の気持ち
人恋しいというより雅也が恋しいと言った方がいいのかもしれない。
私が聞いていないと思って言ってくれた言葉――愛しているの言葉。
その一言で全てが報われ、辛かった過去もきれいさっぱり消えてなくなった。
そして嬉しさのあまり自分から寄せたキスに、今更ながら恥ずかしくて顔を両手で覆った。
あの唇の柔らかさと暖かさを思い出すだけで一気に顔を熱くし、触れるだけのキスだったのにファーストキスのように今でもドキドキしている。
そして、勢いで伝えてしまった私の想い。
伝えるつもりはなかったのに、気持ちが溢れて言葉になってしまった。
好きだと言った時の雅也の表情は驚いていたけど、ほんとはうれしかったはず。
お互いにお互いの事が好きなんだから、うれしくないはずがない。

「さっきから何一人で百面相やってるんだ?」

ゲンさんの声に顔上げると、心配そうなゲンさんが目の前に立っていた。
他のお客さんは?と店内を見回すと誰もいない。

「軽く一杯の客だったし、お前にフラれた男はさっさと帰ったよ」

店内を見回していた私が何を思っているのか気が付いたゲンさんは教えてくれた。


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