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光を求めて
第11章 幸せになりたくて
「東間さんにはいつも助けられて、感謝してるんだ。ありがとう」
テーブルに並べられた焼き鳥を食べていると改めてお礼を言われ、慌てて箸を置いた。
「いえ……仕事ですから」
「ほらっ。そういのが東間さんなんだよな。他の社員に仕事を振ろうものなら何を言われるかわからない。本当に俺の無茶ぶりに答えてくれて感謝してる。って、今は仕事じゃないんだからリラックスして」
「でもっ」
正直、上司の田所さんとふたりっきりでどうしていいのか分からない。
仕事上の事なら平気なのに、飲みの場となるとどこまで砕けていいのか分からないのが正直なところだった。
「お礼をしたかったのは本当だけど……最近少し元気がなさそうだったから俺が無理をさせてるかなって心配になってたんだ」
「それは……すいません。プライベートで色々あって、仕事に持ち込むなんてダメですよね。」
仕事だけは手を抜かないと決めていたのに、田所さんに心配をかけてしまって申し訳なく思って頭を下げた。
「怒ってるわけでもないし、説教をするために誘ったんじゃないんだ。それに落ち込んでるから心配になっただけで、仕事に支障は出てないから安心して良いよ」
田所さんの言葉にホッとして顔を上げると、優しい瞳が私に向いていたことに気が付いて慌てて顔を背けた。