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光を求めて
第11章 幸せになりたくて
「言われたことはちゃんと期間内にやってくれるし、嫌な顔ひとつせずに引き受けてくれる。ほんとに東間さんには感謝してるんだ。本当はさっ。もっと早くにお礼ついでに飲みに連れてきてあげたかったんだけどさ……色々とあって真っ直ぐに帰らなきゃいけなかったんだよな」
「奥さんですか?」
右手の薬指に光るものを見ながら聞くと、何とも言えない顔をする。
「うん。まぁ、うまくいってなくてさ。でも帰らないと機嫌悪くなるし……でも、俺も飲みに出たかったから誘ってよかったよ。東間さんと飲むお酒は楽しいし」
「はい。……私もたのしいです」
あんなに嫌がっていた社内の人との関りも、嫌じゃないと感じた。
それどころか、色々な事を話しながら飲めて楽しかった。
楽しいからお酒の進みも早く、店を出る頃にはほろ酔い気分で、会社では見せることのない自分に戻っていたことにきがついていなかった。
「東間さんは会社にいる時とプライベートでは随分違うな。俺としては今の東間さんが良いけどな」
田所さんの言葉に顔を上げると、じっと見つめられ瞳と重なった。
「あ~……でも、そんなのも俺だけに見せてくれるってのもいいかもな。俺だけしか知らない東間……いや、彩羽ってのも悪くない」
東間から彩羽に呼び方を変えられドキッとした。