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光を求めて
第11章 幸せになりたくて
田所さんに全てではないけど雅也の話をした。
だから寂しくて悲しくて、会社でいつものようにできなかったと告げると、自分のように悲しんでくれた。

「その男も馬鹿だよな。こんな良い女を……けど彩羽には悪いけど、その男には感謝してる」

意味が分からず田所さんに視線を向けると、軽くキスをする。

「じゃなければ、今、こうしてはいない。飲みに誘うことも好きだと伝えることもなかったかもしれない。それを思うと、その男に感謝しかない」

辛かった気持ち、悲しかった気持ち、その全が今の言葉で救われた気がした。

「すごいですね」

「何がだ?」

「たった一言なのに……私の心を救ってくれた。たった一言なのにすごいです」

正直な気持ちを言葉にする。
どんなに嘆き悲しんでも消えてしまったものが戻ってくることはない。
以前と同じ過ちを繰り返しそうになったけど、この人だったらと、目の前にいる田所さんの想いに寄り添いたいと思い始めていた。

「彩羽、言葉じゃない。思いが強いからお前の心に届いたんだ。気持ちのない言葉ほど心に響かないものはない。仕事にしてもそうだ。心があるから良好な関係が築ける。俺は彩羽とそういう関係になりたい」


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