この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
光を求めて
第11章 幸せになりたくて
「浮気じゃないんですか?」
「ああ。彩羽とは真面目につきあいたい。離婚もしていない男が何を言ってるのかと思うけど……真面目なんだ」
ギュッと抱きしめられる温もりと紡ぐ言葉に、さっきまでの寂しさが嘘のように消えた。
彼の一言一言で左右される自分がおかしくて、でも真剣にすべてを話してくれる言葉に信じたいと思えた。
「ありがとうございます。嬉しいです」
「分かってくれて俺も嬉しい。じゃあ出ようか?また時間を作るから……また一緒にいような」
最後にもう一度キスをして部屋を後にした。
駅までの道のりは幸せを感じるけれど、それぞれの家に帰ることを考えると寂しくなる。
もっと一緒にいたいのにそれができないのを理解しても、寂しさばかりあふれてくる。
「そんな顔するなよ。帰したくなくなる」
そう言いながらお互いの電車が来るまで手を繋ぎ、人目のつかない場所で何度も何度もキスを交わした。
キスをすればするほど離れがたく、ギリギリまでキスをし続けた。
先に電車が到着した私が乗り込むと、ドアが閉まる直前に触れるだけのキス。
それがうれしくて、自然と頬が緩んで微笑むことが出来た。