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光を求めて
第12章 甘い言葉

「はっ?何?それ本当か??」

大きな声に驚いて視線を向けると、目を見開き私以上に驚いた顔をしている田所さんがいた。

「ほっ、本当にできたのか?間違いとかじゃなくてか?」

耳を澄ましても奥さんの声は聞こえない。
いったい何の話をして驚いているのか気になって仕方がなかった。
どうしたのか聞きたくて近づこうと一歩踏み出した時、田所さんは満面な笑顔になった。

「そっか、病院で検査したのなら間違いないんだな。俺も父親かぁ……頑張った甲斐があったな。直ぐに帰るからお祝いしよう――何言ってるんだよ。うれしいに決まってるだろう―分かったからって。直ぐに帰るから待ってろよ」

嬉しそうに電話を切ると、私の存在を忘れたかのように身支度をして帰ろうとする田所さんに慌てて声をかけた。

「あのっ、田所さんっ」

足を止めた田所さは私を一瞥する。

「なんだ。まだいたんだ」

天国から地獄とはまさにこのことで、一瞬にして地獄に突き落とされた気分だった。
そんな私に、田所さんは悪びれもせず言葉にする。


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