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光を求めて
第13章 生きているこそが

「お前、家は近いのか?」

「電車で、6駅です」

聞かれたことに正直に答えると、遠いなと言ってまた考え込んでしまって解放してくれる気配はない。
もう大丈夫ですからと声をかけようとすると、あぁ?と言ってすごまれ言葉にすることはできなかった。
ただ知らない男に壁際に追い込まれて身動きすらできない状況で時間だけが過ぎていく。
終電が通り過ぎたホームは人がいない。
そんな中、確認に来た駅員が私たちに目を向けると眉を潜め、声をかける前に私だけに分かるように声を出さずに大丈夫かと聞いてくれた。
正直、この状況をどうにかして欲しいと思っても、助けてくれた事には変わりはないので大丈夫ですとだけ声を出さずに答えた。
そう答えても私たちの事が気になるのか立ち去ろうとせず、駅員が声をかけてくるのは時間の問題だった。

「あっ、あのっ」

「あ゛っ??」

「えっと……駅員さんが、心配して見てるんですけど……」

それだけを辛うじて伝えた。
男は振り向いて駅員を確認すると、チッと舌打ちをして私の手を取り外に出るとタクシーに押し込んだ。


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