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光を求めて
第13章 生きているこそが
「いらっしゃい。今日は遅いな」
男がお店のドアを開くと、カランカランと耳あたりの良い音が響き、それと同時に心地よい声が耳に届く。
「来る予定はなかったんですけどね。訳アリの女みつけたんで」
「訳アリ?」
中に入れない私は、中から見えないように腕を伸ばしてドアの後ろに隠れていた。
「そうなんですよ。放っておこうとも思ったんですけどね。後味が悪くて、とりあえず人目があるここにつれてきたんですよ――早く来い!」
凄い力で引っ張られ、その力に逆らえずに店の中に身体を入れた。
「あっ?えっ???彩羽???」
私の姿を確認したゲンさんは驚きの声を上げ、慌ててカウンターの中から駆け寄ってくる。
「んっ?もしかしてゲンさんの知り合い?」
「あっ、ああ、娘だ。それより、いったいどうしたんだ?」
「娘……へぇ~、そうなんだ」
戸惑うゲンさんと違って男はふ~んと気にもしない態度だった。
「まぁ、詳しい事は後でいいですか?とりあえず、休ませてやってくださいよ」
男はゲンさんに私を預けると、そのまま一番奥のスツールに座った。
私はゲンさんに支えられるようにして奥の部屋に行くと、ソファーに座らされ毛布をかけてくれた。