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光を求めて
第13章 生きているこそが
「あの時からずっとお前の成長を見て来た。本当の娘の様に思っているから恋愛感情を持つことはない。けどな。それ以上の愛情は感じている。楓の代わりでもない。彩羽という人間に俺は惜しみない愛情を感じている。こんな俺の愛情じゃ足りないか?こんな店のマスターのただのオヤジの愛情じゃ……彩羽をこの世に留まらせることは出来ないのか?」
ゲンさんの言葉は胸を熱くする。
「どうしたら彩羽は生きたいと思ってくれる?どうしたら俺の想いが届く?」
揺れる瞳から一筋の涙が流れ落ちていく。
こんなにもまっすぐに愛情を示してくれる人の心が偽りなはずがない。
それに言葉にされなくてもゲンさんの愛情は伝わっていた。
ゲンさんの愛情に気がつくのは今更だ。
「伝わってるよ……ゲンさんの愛情は伝わってる。いつも何も言わずに寄り添ってくれた……いつも泣きたい時は泣かせてくれた……寂しい時は抱きしめてくれた。ゲンさんがいたから今の私が存在する……ゲンさんがいたから生きてこられた」
「だったら生きろ!生きて幸せになれ」