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光を求めて
第13章 生きているこそが
「雅也が消えて少したった頃……上司に食事に誘われたの。いつも仕事手伝ってるからそのお礼だって。会社ではあまり人を寄せ付けないようにしていたから今までは断ってたんだけど、家に帰るのが嫌だったから飲みに行った……食事して飲んで楽しかった。奥さんがいる人だけど仲が良くなくて……」
田所さんとの事を全て話した。
一緒にいて楽しかった事、私の事を愛していると何度も言ってくれた事、私とは浮気じゃなくて本気だって言ってくれた事。
ゲンさんは話をしている間、ずっと背中を擦って静かに聞いてくれた。
「今日も直帰だったはずなのに私のために戻って来てくれた。会社なのに愛してくれて、私がいないと生きていけないって言ってくれてうれしかった。それなの……奥さんから電話があって子供ができたって、奥さんの事好きだしって平気な顔で言うの。それを問い詰めたら私は遊びだって、浮気じゃなくて本気だって言葉は浮気する常套句でしょうって笑うの」
話をしながら涙があふれてくる。
そして自分がいかに馬鹿な事をしているのか分かる。
「だけど、私がもっと傷ついたのは…――その人は私が他の男とホテルに行くことを知ってた。だから誘って直ぐについてきたからラッキーだって……またしようなって……最後に私とのSEXは気持ち良いからまたしようなって、そう言ったの」
ゲンさんは何ひとつ言ってくれはない。
ただ抱きしめてくれるだけだった。