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第14章 制裁

言いにくそうにしている彼女の変わりに私が口を開いた。

「もしかして、嫌な事されました？」

その言葉に顔を上げた峰岸さんは今にも泣き出してしまいそうだった。

「やっぱり東間さんもでしたか？」

「はい。それで気まずくなって田所さんは私に仕事を頼まなくなったと思います」

「やっぱり……少し前から東間さんに頼んでいた仕事を私に頼むようになって、何かあったのかなって思ってたんですよね。この前、お礼にって食事に誘われて……同じ事されたのかなって」

お互いに何をされたかは具体的に口にせず、お互いの出方を見てるかのように言葉を濁して会話をする。
だけど話の内容からして同じような事をされたと分かる。
優さんが威嚇して2か月。
子供も生まれると言うのに懲りない男だ。

「それでっ。えっと……酔った勢いというか、そうなったんですけど……私としては一度っきりの過ちと言うか、既婚者の人と深く関わる気はなくて」

「それでも、何度も迫られてるって事ですよね」

峰岸さんの言葉を引き継ぐと、静かに頷いた。