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光を求めて
第15章 友達
「そうか、悔しいだろうが、それが賢明な判断だな」
裏の事情を知らない優さんの言葉に笑顔を向ける。
「はい。あとは会社が全てやってくれると思います」
「良い顔をするようになったな。まぁ、全てが終わったのならいい。もう無理はするなよ」
その一言だけを残して歩き始めた優さんを慌てて後を追った。
横に並び一緒に歩いていると、ちらりと私の方を一度見てから頭をワシャワシャと撫でてくれた。
「頑張った褒美に飯でも食に行くか?」
「頑張った?」
いきなりの事で聞き返すと微笑む優さん。
「頑張っただろう?ゲンさんも驚いてたぞ。いつも流れに逆らわず自分の気持ちを言う事がないお前が人の為に熱くなる姿を初めて見たと。そして安心したとも言ってたな。血が繋がってなくても良く見てると思うよ」
「知ってて……」
当たり前だろう?と優さんは笑った。
それから優さんが連れて行ってくれたお店は会社から歩いて15分ぐらいにある焼鳥屋さん。
お世辞にも綺麗とは言えないお店だったけど、食べ物はどれも美味しくて大将と女将さんは気さくで優しい人だった。