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光を求めて
第15章 友達

「今日は遅かったわね」
「仕事が長引いたんだよ。で?誰が厳ついって?」
「自覚ないの?」
「いや、自覚はあるけどな。清香姉さんにだけは言われたくはないぜ」
「自覚はあるんだ。だったらもう少し愛想良くしなさいよ。じゃないと彼女できないわよっ」
「大きなお世話だ。それに俺の事より自分の事心配したらどうなんだ?来年はいくつになるんだっけ?俺より随分と上だよなぁ?」
軽快なかけあいに入り込めず、ひとり寂しくお酒を飲むしかなかった。
チビチビ飲むから酔うことも出来ずにモヤモヤとしたものが渦巻いて行く。
清香姉さんが優さんの身体に触れるたびにモヤモヤとイライラが増していくのが分かり、そんなふたりの姿なんて見たくなかった。
「ゲンさん、今日は帰るね」
「もう、帰るのか?」
1時間もいない私を心配するゲンさんに少しだけイライラがおさまり、ほっとする。
「うん。明日ね。会社の子の家に泊まりに行くの」
「男か?」
「違うよ女の人。だから今日は早く帰って明日の準備」
女性だと聞くと安心した表情をする。
清香姉さんと優さんにバイバイを言うと、話に夢中になっているふたりは軽くバイバイと言うだけで気にしてもくれなかった。
優さんの彼女でもないから仕方がない事だと分かっていても、もっと私を見て欲しい。
清香姉さんではなくて私といっぱい話して欲しいと、知らないうちに独占欲が沸き起こっていた。

